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「ここは大丈夫」と思っている人にこそ知ってほしい|秋田で考える水害のリアル【100mmの豪雨・車の冠水・避難】

  • 3 時間前
  • 読了時間: 10分



美工舎塗装工業のブログでは、塗装や住まいに関する情報だけではなく、秋田で暮らす地域の皆さまにとって少しでも役立つ情報をお届けしたいと考えています。


今回は、近年全国各地で大きな被害をもたらしている「水害」について考えます。


2026年8月27日、石川県と富山県の一部には大雨特別警報が発表されました。気象庁は「これまでに経験したことのないような大雨」とし、災害がすでに発生している可能性が極めて高いとして、直ちに身の安全を確保するよう呼びかけています。


テレビやインターネットに映る、茶色い濁流に覆われた道路、水につかった住宅、動けなくなった車。そうした映像を見ながら、「怖い。でも、ここは大丈夫だろう」と感じる方も少なくないのではないでしょうか。


災害報道では「何十年もここに住んでいるが、こんなのは初めてだ」という言葉を耳にすることがあります。もちろん、すべての地域で大規模な水害が起きるという意味ではありません。それでも、「今まで大丈夫だった」という経験だけで、これから先も大丈夫だと言い切ることは難しくなっています。


今回は、もし自分たちの暮らす地域で猛烈な豪雨が降ったら、実際に何が起こるのか。雨の量、川、道路、車、避難、ハザードマップ、家族の行動まで、水害の「リアル」をできるだけ具体的に考えてみたいと思います。






天気予報で「1時間に100mmを超える猛烈な雨」と聞いても、100mmという数字だけでは、そのすごさをなかなか想像できません。


1時間100mmの雨とは、雨がどこにも流れずその場にたまったとすると、わずか1時間で水深10cmになる量です。1メートル四方なら約100リットル。重さにすれば約100kgの水が1時間で降ってくる計算になります。


さらに範囲を広げてみます。100㎡なら約10,000リットル、重さにすると約10トン。一般的な住宅の屋根ほどの範囲でも、1時間に受ける雨量を重量換算すると10トン前後になります。100メートル四方なら約1,000トン。1キロ四方なら約10万トンです。


少し窓の外を見ながら想像してみてください。家の屋根にも、道路にも、駐車場にも、田んぼにも、空き地にも、山にも、その目に映るすべての場所へ何千トン、何万トンという水が問答無用で降り続けます。


もちろん、その水がその場に積み重なるわけではありません。雨水は高い場所から低い場所へ流れ、側溝、水路、川へと一斉に集まっていきます。だからこそ、短時間に大量の雨が降ることが恐ろしいのです。


気象庁では1時間80mm以上を「猛烈な雨」としており、「息苦しくなるような圧迫感があり、恐怖を感じる」ほどの降り方と説明しています。1時間100mmという雨は、単に「傘では防げない大雨」というレベルではありません。






降った雨の多くは、最終的に水路や支流を通り、大きな川へ集まっていきます。しかし、川も無限に水を流せるわけではありません。川には、その川幅や深さ、流れ方によって、安全に流すことができる水量の限界があります。


筆者が住む由利本荘市を流れる子吉川でも、洪水時により多くの水を安全に流せるよう、本荘地区や二十六木地区で川の中の土砂を取り除く「河道掘削」が進められています。国土交通省では、この工事によって洪水時の水位を低下させる対策を行っています。


こうした治水工事は非常に重要ですが、それでも短時間に流れ込む水の量があまりにも多ければ、川や水路、側溝による排水が追いつかなくなることがあります。


また、水害は「大きな川が堤防を越えたとき」だけに起こるものではありません。川の水位が高くなったり、側溝や下水道の排水能力を雨量が上回ったりすると、街中に降った水を排出できなくなる「内水氾濫」が発生することもあります。


つまり「大きな川から離れているから大丈夫」とも限らないのです。空から降ってくる水の量が、地上から逃がせる水の量を上回る。そのとき、行き場を失った水は道路や住宅地へ広がり始めます。






水害で本当に怖いことの一つは、状況が悪化するにつれて「できること」が一つずつ失われていくことです。


道路に水がたまり始めると、道路と側溝の境目が見えなくなります。夜なら水深さえ分かりません。マンホールの蓋が外れていたり、道路の一部が崩れていたりしても、濁った水の下から確認することはできません。


さらに、水は深さだけではなく「流れ」が加わることで一気に危険になります。国土交通省では、流れが緩やかであっても水深50cm以上になると大人でも歩行が困難になるとしており、流れが速い場合にはもっと浅い水深でも歩けなくなることがあります。


だから、避難は「猛烈な雨になってから考える」のではなく、危険になる前に行うことが基本です。


一方で、すでに道路が冠水している、外へ出ること自体に命の危険を感じるほどの豪雨になっている場合には、避難所へ向かうために無理に外へ出ることが逆に危険になることもあります。その場合には、自宅の2階や近隣のより高く安全な建物などへ移動し、その場でできる限り安全を確保する「緊急安全確保」が選択肢になります。


ただし、「2階に上がれば必ず安全」という意味ではありません。家屋そのものが流される可能性がある場所や、想定される浸水深が建物の上階まで達する地域では、危険が迫る前の早い段階で安全な場所へ避難する必要があります。


覚えておきたいのは、危険になる前なら早く動く。すでに外へ出ること自体が危険なら、無理に移動しない。 ということです。






秋田では、車は単なる移動手段ではありません。通勤、買い物、通院、家族の送迎など、日常生活そのものを支えている家庭も多く、車を失うだけで生活に大きな支障が出ます。


そして現在の車は、昔に比べて多くの電子制御装置やセンサー、配線、コンピューターを搭載しています。ハイブリッド車やEVでは、高電圧のバッテリーや制御装置も使われています。そのため、「エンジンまで水につからなければ大丈夫」とは限りません。


国土交通省によると、水深が車両の床面を超えて車内へ浸水すると、エンジンやモーター、電気装置などに不具合が発生し、最悪の場合は走行できなくなる可能性があります。また、水深がドアの下端付近まで達すると水圧によってドアが開けにくくなり、ドアの高さの半分を超えると内側からほぼ開けられなくなる場合があります。


冠水した道路を車で走れば、自分の車が作った波によって、水が実際の水深より高い場所まで押し寄せることもあります。吸気口から水を吸い込めば、エンジンが大きく損傷することもあります。


車内まで深く浸水した場合には、シートや内装だけでなく、各種制御装置、配線、エアバッグ関連など広い範囲に影響が及びます。修理自体が可能な車でも、修理費が車両価値を上回り、実質的に買い替えを選択せざるを得なくなるケースもあります。


さらに注意したいのは、浸水直後に動いたからといって「無事」とは限らないことです。泥水や水分が残れば、その後に腐食が進み、時間がたってから電気系統の不具合が出る可能性もあります。


そして何より避けたいのが、「車を守るために、すでに冠水した道路へ出る」ことです。車を移動させるなら水害が起きてからではなく、大雨が予想されている段階で「どこへ移すのか」を考えておく。人の安全より車を優先してはいけません。






豪雨や洪水によって車が水没した場合、車両保険の契約内容によっては補償を受けられることがあります。住宅についても、火災保険に入っているからといって必ず洪水や浸水が補償されるとは限らず、水災補償の有無や支払い条件は契約によって異なります。


災害が起きてから初めて保険証券を探し、「うちは対象なのだろうか」と確認するのは大きな負担になります。何も起きていないときに、「車には車両保険が付いているか」「住宅の火災保険に水災補償が付いているか」だけでも一度確認しておくと安心です。


また、実際に被災した場合には、片付けを始める前に家や車、家財などの被害状況を写真で残しておくことも重要です。自治体の罹災証明や保険の手続きを考えるうえでも、被害直後の記録が役立つ場合があります。






自宅をハザードマップで確認したとき、自分の家に色が付いていなければ安心したくなります。もちろんハザードマップは、防災を考えるうえで非常に重要な情報です。


しかし、「色が付いていない場所では水害が起こらない」という意味ではありません。


秋田市の内水浸水想定区域図では、想定最大規模降雨として1時間150mmの雨を想定して浸水状況をシミュレーションしています。その一方で秋田市自身も、土地の状況や実際の雨の降り方によっては、想定を超える浸水となったり、想定とは異なる場所で浸水が発生したりする可能性があると注意しています。


ハザードマップは「危険な場所と安全な場所を完全に分ける地図」ではありません。自分たちが暮らす地域には、どのような水害リスクがあるのかを考えるための地図です。


川との距離だけではなく、自宅が周囲より低い位置にないか、近くに水路はないか、大雨になるといつも水がたまる道路はないか。普段その地域で暮らしているからこそ知っている情報も、防災では非常に重要です。






災害は、家族全員が自宅にそろっているときに起こるとは限りません。

仕事中かもしれない。子どもは学校にいるかもしれない。高齢の家族だけが自宅にいるかもしれない。誰かが買い物や通院で外出している時間かもしれません。


そんなとき猛烈な雨が降り始めたら、「とりあえず全員家に帰る」という判断が安全とは限りません。すでに道路が危険であれば、それぞれが今いる安全な場所にとどまった方がいいこともあります。


だからこそ、普段のうちに家族で少し話しておく意味があります。大雨が予想されたら誰が情報を確認するのか。高齢の家族はどの段階で避難するのか。車はいつ、どこへ移すのか。学校や職場にいる場合はどうするのか。自宅から出られなくなったら家のどこへ移動するのか。電話がつながらなければどう連絡を取るのか。


国土交通省では、このように「いつ、誰が、何をするのか」を時系列で考えておく防災行動計画を「マイ・タイムライン」として推奨しています。


災害が起きてから、家族全員で一から考える時間があるとは限りません。防災用品をそろえることだけが備えではありません。「そのとき自分たちはどう動くか」を家族で共有しておくことも、大切な防災です。






地震、大雨、洪水、記録的な高温。最近ニュースを見ながら、「これから日本は大丈夫なのだろうか」と不安になる方もいると思います。


しかし、「どこにいても危険だ」と毎日怯えて暮らす必要はありません。一方で、「これまで何もなかったから大丈夫」と決めつけることにも注意が必要です。


水害は、毎回まったく同じ雨の降り方、同じ場所、同じ規模で起きるものではありません。道路や河川の整備も進みますが、雨の降り方や周辺環境も変化します。

だからこそ、「前回は大丈夫だった」ではなく、「もし今回起きたら、自分たちはどう動くか」と考えてみる。


自宅周辺の水害リスクを知る。ハザードマップを一度見る。家族と話しておく。車の避難場所を考える。保険を確認する。そして危険が迫ったときには、家や車、家財よりも人の安全を優先する。


すべての災害を防ぐことはできません。それでも、災害を知り、変化を知り、それに合わせて自分たちの暮らし方や備え方を少しずつ「適応」させていくことはできます。


もし本当に危険な状況になったときには、どうか無理をしないでください。車を取りに戻らない。家財を守るために危険な場所へ行かない。避難できるうちに避難し、すでに外へ出ることが危険なら、そのときできる最も安全な行動を選ぶ。


家や車は大切です。それでも、災害のときに最初に守るべきものだけは決まっています。


この記事が、ご自身やご家族と水害について一度話してみるきっかけになれば幸いです。

美工舎塗装工業では、これからも秋田で暮らす地域の皆さまにとって、少しでも役立つ情報をお届けしていきます。





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