突然、屋根と壁を塗り始めた人たちの正体
- 有限会社 美工舎塗装工業 広報担当

- 7月15日
- 読了時間: 3分

「おい、誰か来たぞ」
秋田市郊外。築35年、夫婦二人暮らしの一軒家。昼食後のコーヒーを飲んでいたご主人は、窓の外に目をやりました。
白いトラックが家の前に停まり、作業着姿の男たちが脚立を広げている。荷台にはペンキ缶やローラー、足場材まで積み込まれていました。
「……まさか、塗装?」
【頼んでいない工事が始まる】
玄関のチャイムが鳴り、作業員が挨拶してきました。
「塗装屋で〜す。本日から屋根と外壁の塗装に入ります」
「いやいや、ちょっと待ってください。うちは頼んでないよ」
作業員は、にこやかに一枚の契約書を差し出しました。
「こちらがご依頼の内容になります。ご住所、お名前はこちらで間違いないですね」
確かに名前も住所も合っている。
しかし、よく見ると「依頼人」の欄には、関東に住む息子夫婦の名前がありました。
「…え?あいつらが?」

【心当たりと、息子の思惑】
思い返せば、去年の正月。帰省した息子夫婦が家の周りをぐるっと歩きながら、こんなことを言っていた。
「お父さん、屋根、だいぶ傷んでるよ。そろそろ塗ったほうがいいんじゃない?」
「まだ大丈夫だ。上がって見たわけでもないだろう」
「いやいや、もう見ればわかるよ。塗料も剥げてるし、コーキングもひび入ってるじゃん」
「……でも金かかるだろ」
「それはまぁ……」
そんなやり取りのあと、話は流れてしまった。「親に余計な心配をかけたくない」と、息子もそれ以上言わなかったのだろう。
だが実際は、息子は動いていた。見積もりを取り、業者と打ち合わせをし、契約まで進めていたのです。
【電話の向こうから聞こえた本音】
作業員がその場で息子に電話をつなぎました。スピーカーから息子の声が響きます。
「あ、ごめんごめん!ちゃんと連絡しとくつもりだったんだけど、タイミング逃してさ」
「勝手に頼むなよ…こっちだって段取りがあるんだから」
「いや、ほっとくと、たぶんやらないでしょ?屋根、ほんとにヤバいよ。俺、あのまま放置されるの心配だったんだ」
「……お金は?」
「それはこっちで全部払うよ。もう振り込んである」
「…そんなことまでしなくていいのに」
「でも、こっちにいると、なかなか帰れないでしょ?遠くにいるぶん、できることはやっときたかったんだよ」

【戸惑いと、感謝と、少しの寂しさ】
電話を切ったあと、ご主人は、しばらく無言で窓の外を見ていました。
ペンキの缶。足場を組む若い作業員たち。湿った屋根と、ひび割れた壁。
「まったく、勝手なことを…」
そう言いながらも、心のどこかで「ありがたいな」と思っている自分がいました。
「でも…こうやって子どもに世話焼かれる年になったってことか」
「ほんとだねぇ」
奥さんが隣で小さく笑いました。
【塗装が終わったあと】
4日間の工事が終わり、家は見違えるほどきれいになりました。屋根はツヤを取り戻し、外壁は新築のような色合いに。
「これで雨漏りの心配もしばらくないな」
「そうだね。…まぁ、結果的には、やってもらって良かったんだろうね」
でも、ご主人は少しだけ複雑な気持ちもありました。「自分で決める前に、子どもにやられてしまった」という、なんとも言えない感情。
それでも、家を見上げながら、小さくつぶやきました。
「ありがとな」

【家を守るのは、家族の思いやり】
この話は、実際にあったご依頼をもとにしています。(※一部脚色あり)
屋根や外壁の劣化は、なかなか自分では気づきにくいもの。だからこそ、家族の「気づかい」がきっかけになることもあります。
私たちは、そんな「きっかけ」をお手伝いしています。もし気になることがあれば、どうぞ私たち有限会社美工舎塗装工業にご相談ください。




