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突然、屋根と壁を塗り始めた人たちの正体


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「おい、誰か来たぞ」

秋田市郊外。築35年、夫婦二人暮らしの一軒家。昼食後のコーヒーを飲んでいたご主人は、窓の外に目をやりました。

白いトラックが家の前に停まり、作業着姿の男たちが脚立を広げている。荷台にはペンキ缶やローラー、足場材まで積み込まれていました。

「……まさか、塗装?」


【頼んでいない工事が始まる】

玄関のチャイムが鳴り、作業員が挨拶してきました。

「塗装屋で〜す。本日から屋根と外壁の塗装に入ります」

「いやいや、ちょっと待ってください。うちは頼んでないよ」

作業員は、にこやかに一枚の契約書を差し出しました。

「こちらがご依頼の内容になります。ご住所、お名前はこちらで間違いないですね」

確かに名前も住所も合っている。

しかし、よく見ると「依頼人」の欄には、関東に住む息子夫婦の名前がありました。

「…え?あいつらが?」



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【心当たりと、息子の思惑】

思い返せば、去年の正月。帰省した息子夫婦が家の周りをぐるっと歩きながら、こんなことを言っていた。

「お父さん、屋根、だいぶ傷んでるよ。そろそろ塗ったほうがいいんじゃない?」

「まだ大丈夫だ。上がって見たわけでもないだろう」

「いやいや、もう見ればわかるよ。塗料も剥げてるし、コーキングもひび入ってるじゃん」

「……でも金かかるだろ」

「それはまぁ……」

そんなやり取りのあと、話は流れてしまった。「親に余計な心配をかけたくない」と、息子もそれ以上言わなかったのだろう。

だが実際は、息子は動いていた。見積もりを取り、業者と打ち合わせをし、契約まで進めていたのです。


【電話の向こうから聞こえた本音】

作業員がその場で息子に電話をつなぎました。スピーカーから息子の声が響きます。

「あ、ごめんごめん!ちゃんと連絡しとくつもりだったんだけど、タイミング逃してさ」

「勝手に頼むなよ…こっちだって段取りがあるんだから」

「いや、ほっとくと、たぶんやらないでしょ?屋根、ほんとにヤバいよ。俺、あのまま放置されるの心配だったんだ」

「……お金は?」

「それはこっちで全部払うよ。もう振り込んである」

「…そんなことまでしなくていいのに」

「でも、こっちにいると、なかなか帰れないでしょ?遠くにいるぶん、できることはやっときたかったんだよ」



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【戸惑いと、感謝と、少しの寂しさ】

電話を切ったあと、ご主人は、しばらく無言で窓の外を見ていました。

ペンキの缶。足場を組む若い作業員たち。湿った屋根と、ひび割れた壁。

「まったく、勝手なことを…」

そう言いながらも、心のどこかで「ありがたいな」と思っている自分がいました。

「でも…こうやって子どもに世話焼かれる年になったってことか」

「ほんとだねぇ」

奥さんが隣で小さく笑いました。


【塗装が終わったあと】

4日間の工事が終わり、家は見違えるほどきれいになりました。屋根はツヤを取り戻し、外壁は新築のような色合いに。

「これで雨漏りの心配もしばらくないな」

「そうだね。…まぁ、結果的には、やってもらって良かったんだろうね」

でも、ご主人は少しだけ複雑な気持ちもありました。「自分で決める前に、子どもにやられてしまった」という、なんとも言えない感情。

それでも、家を見上げながら、小さくつぶやきました。

「ありがとな」




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【家を守るのは、家族の思いやり】

この話は、実際にあったご依頼をもとにしています。(※一部脚色あり)

屋根や外壁の劣化は、なかなか自分では気づきにくいもの。だからこそ、家族の「気づかい」がきっかけになることもあります。

私たちは、そんな「きっかけ」をお手伝いしています。もし気になることがあれば、どうぞ私たち有限会社美工舎塗装工業にご相談ください。


 
 
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