なぜクマは人を襲うのか。知っておきたい理由と遭遇時の対処法
- 2025年10月23日
- 読了時間: 9分
更新日:6月1日
更新情報|2026年6月1日
本記事は、環境省・秋田県・東北森林管理局などが公表する最新情報をもとに、2025年度のクマによる人身被害状況、秋田県内での注意点、クマと遭遇した場合の対処法について内容を更新しました。

「なぜ、クマは人を襲うのか」
「山に入らなければ安全なのか」
「もし出会ってしまったら、どうすればよいのか」
不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、「クマによる人身事故の多くは、人とクマが突然近い距離で出会い、クマが身を守るために攻撃したことで起きています」。
ただし、すべての事故が単なる偶然の鉢合わせとは限りません。食べ物を求めて人の生活圏へ入り込む個体や、人が集めた山菜などに執着し、積極的に人へ近づく危険な個体による事故も確認されています。
この記事では、秋田県や環境省、東北森林管理局が公表している情報をもとに、クマが人を襲う理由と、私たちが身を守るために知っておきたい対策を整理します。
※本記事は、地域の安全確保と情報共有を目的に、秋田市で住まいの外回りに関わる仕事を行う当社が、公的機関の情報をもとにまとめたものです。

2025年度、秋田県では67人がクマの被害に遭いました
環境省の速報値によると、2025年度のクマによる人身被害は、全国で216件、被害者238人、うち死亡者13人となりました。
秋田県では、59件、67人が被害に遭い、うち4人が亡くなっています。
特に被害が集中したのが2025年10月です。秋田県では、10月だけで31件、37人の人身被害が発生しました。
秋田市でも、市街地など人の生活圏でクマの目撃が相次ぎ、2025年は10月をピークに、12月末時点で約4,300件の通報が寄せられたと公表されています。
かつては「クマは山で出会うもの」という印象が強かったかもしれません。しかし現在は、山菜採りや登山をする人だけでなく、住宅地の近くを歩く人、農作業をする人、通勤や散歩で外出する人も注意が必要な状況になっています。

なぜクマは人を襲うのか
多くの事故は「突然出会ってしまった」ことで起きています。
秋田県によると、県内で発生したクマ事故の大半は、鈴やラジオなどを持たずに行動していた人が、クマと鉢合わせをした結果として起きています。
クマは本来、人の気配を感じれば避けることが多い動物です。しかし、藪の中、沢沿い、見通しの悪い場所、風や雨で音が聞こえにくい場所などでは、人とクマがお互いの存在に気づかないまま、近い距離で出会ってしまうことがあります。
クマにとっても、突然目の前に人が現れる状況は危険です。逃げ場がない、子グマが近くにいる、食べ物を確保しているといった場合には、身を守るために攻撃へ転じることがあります。
そのため、クマ対策で最も重要なのは、襲われたときにどう戦うかではなく、まず鉢合わせを防ぐことです。
食べ物を求めて生活圏へ近づくクマもいます
クマは雑食性で、季節によって植物、木の実、昆虫、農作物などを食べます。特に秋は、冬を越すために多くの食べ物を必要とする時期です。
山の中で十分な食べ物が得られない場合、クマが農地や集落、住宅地の周辺まで移動する可能性が高まります。
また、米や米ぬか、生ごみ、家畜飼料などが屋外に置かれていると、それがクマを呼び寄せる原因になることがあります。一度、人の生活圏で食べ物を得られると学習したクマは、繰り返し同じ場所へ現れる危険があります。
つまり、人身被害を防ぐためには、クマとの偶然の遭遇を避けるだけでなく、家の周囲にクマを引き寄せるものを置かないことも大切です。
一部には、人へ積極的に近づく危険な個体もいます
秋田県は、山菜を奪ったり、積極的に人へ接近したりする危険性の高いクマが確認されている地域について、入山禁止措置を案内しています。
このような危険な個体が確認されている場所では、鈴やラジオなどの一般的な対策だけでは事故を防ぐことが困難な場合があります。
「音を出していれば必ず安全」と考えず、入山禁止区域や事故発生地域には絶対に近づかないことが重要です。

2025年にクマの出没が増えた背景の一つは、ブナの実の大凶作です
ツキノワグマにとって、ブナの実などの堅果類は、冬を迎える前に脂肪を蓄えるための重要な食べ物です。
東北森林管理局では、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県の145地点で、毎年ブナの開花状況と結実状況を調査しています。
その調査によると、2025年の秋田県は、
開花指数:0.4
結実指数:0.0
となっており、結実指数1未満を示す「大凶作」に該当しました。
さらに、2025年は東北5県すべてで結実指数が1未満となり、広い範囲でブナの実が極端に少ない年となりました。
山の中で重要な食べ物が不足すれば、クマが別の食べ物を探して広く移動し、農地や集落、住宅地周辺へ近づく可能性は高くなります。
ただし、クマの出没増加は、ブナの実の不足だけで説明できるものではありません。人里に残された食べ物、藪や草地による移動経路、集落周辺の環境変化など、複数の要因が重なって事故の危険性を高めていると考える必要があります。

2026年も、警戒が必要な状況は続いています
2025年秋に大きな被害が発生したからといって、2026年は安心できるということではありません。
秋田県は、2026年春から人の生活圏でクマの目撃が相次いでいること、また夏は山中の食物資源が少なくなり、生活圏への出没増加が懸念されることから、ツキノワグマ出没警報を2026年7月31日まで延長しています。
また、2026年5月28日には、羽後町で山菜採りに向かう途中の人が、藪から出てきたクマに襲われる事故が発生しました。
クマの危険は秋だけのものではありません。春の山菜採り、夏の早朝・夕方の外出、秋の収穫期など、季節ごとに注意が必要です。
秋田県内の最新の出没情報は、県の情報マップシステム「クマダス」で確認できます。自宅周辺や外出先の状況を確認するためにも、日頃から活用しておくことをおすすめします。

クマと出会わないために、日頃からできること
クマによる事故を防ぐために最も大切なのは、クマと突然出会わないことです。
●山や藪の近くへ行く場合
鈴、ラジオ、声、スマートフォンの音などで、人の存在を知らせながら行動する
一人での行動を避け、できるだけ複数人で行動する
雨の日、風の強い日、沢沿いなど、音が届きにくい場所では特に注意する
入山禁止区域や事故発生地域には絶対に入らない
ごみや食べ物は必ず持ち帰る
秋田市は、クマ被害者の多くが鈴などの鳴り物を持っていなかったことを公表しており、「音を出すとクマに狙われる」といった誤った情報に注意するよう呼びかけています。
●住宅地や家の周囲では
車庫や物置の扉は普段から閉めておく
米、米ぬか、生ごみ、家畜飼料などを屋外に放置しない
家の周囲に見通しの悪い藪や背の高い草がある場合は、可能な範囲で整える
クマの目撃情報がある時間帯や場所では、不要な外出を避ける
クマダスなどで、周辺の出没情報を確認する
クマが身を隠しやすい場所や、食べ物を得られる場所を住宅周辺につくらないことが、被害防止につながります。

もしクマと遭遇してしまったら
どれだけ注意していても、突然クマと出会ってしまう可能性はあります。その場合は、慌てて走ったり、威嚇したりせず、落ち着いて行動することが重要です。
●クマがこちらに気づいていない場合
静かにその場を離れ、距離を取ってください。写真を撮るために近づいたり、様子を見ようとして留まったりしてはいけません。
●クマがこちらに気づいている場合
クマに背中を向けて走らず、ゆっくりと後ずさりしながら距離を取ってください。
大声を出したり、石や物を投げたりすると、クマを刺激する危険があります。
●住宅地で遭遇した場合
可能であれば、建物や車の中へ避難してください。すぐに避難できない場合は、電柱や塀、車など、自分とクマとの間に遮蔽物を挟むことも有効です。
●襲われそうになった場合
クマ撃退スプレーを携帯している場合は、使用できる距離と風向きを確認したうえで使用してください。
避難場所やスプレーがなく、攻撃を受ける危険が高い場合は、うつ伏せになり、両手で顔や首の後ろを守る防御姿勢を取ってください。
秋田県によると、クマによる事故では首から上を損傷することが非常に多く、顔面麻痺や失明につながる重傷も発生しています。防御姿勢は、致命的な損傷を避けるための最終手段です。

クマを見かけたら、まず安全を確保して情報共有を
クマを目撃した場合は、近づいたり、追い払おうとしたり、撮影のために追いかけたりしてはいけません。
まずは自分と周囲の安全を確保し、そのうえで市町村や警察へ連絡してください。秋田県の「クマダス」では、目撃情報や人身事故情報を地図上で確認でき、地域での情報共有にも活用できます。
自宅の近くや、家族が通勤・通学で利用する道の周辺でクマが目撃されていないか、日頃から確認しておくことも大切です。

危険を正しく知り、日常の中で備えることが大切です
クマは、人を積極的に襲うことだけを目的として生活している動物ではありません。
しかし、人とクマの生活圏が近づき、食べ物を求めて住宅地や農地の周辺へ現れる状況では、偶然の遭遇が大きな事故につながる可能性があります。
特に秋田県では、2025年度に深刻な人身被害が発生し、2026年も警戒が必要な状況が続いています。
出没情報を確認する
音を出して鉢合わせを防ぐ
家の周囲に食べ物を放置しない
車庫や物置を閉めておく
遭遇した場合は走らず、静かに距離を取る
危険が迫った場合は、顔と首を守る
一人ひとりが正しい知識を持ち、家族や地域で情報を共有することが、事故を防ぐ第一歩になります。
当社は塗装業を営む会社ですが、秋田で暮らす皆さまの住環境と日々の安心に関わる企業として、今後も地域の生活に役立つ情報をお届けしてまいります。

